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若手オーナーインタビュー / 自身のトリコになる毎日を『trico hair』名古屋・上小田井

いまや、美容室は「髪を切る場所」プラスαの付加価値が求められる時代に。そんな中で、みんながどんな風に考えて、どんなお店づくりをしているのか?は気になるところですよね! ということで、自分でお店を構える若手オーナーにインタビュー。立地やコンセプトづくりなど、独立に関わることも聞いていきます! 今回は、愛知県名古屋市西区上小田井の『trico hair』のオーナー加藤友幸さん・アシスタント久保田優菜さんを訪ねました。

 

オーナースタイリストの加藤さん(左)とアシスタントの久保田さん(右)。他に、スタイリストである加藤さんの奥様、パート勤務のアシスタントさん、レセプショニストさんの5名で運営している。

 

TOMOTOMO:おー、広々としたお店ですね!受付まわりもゆったりしてて、洒落たビストロっぽいというか。ここって一軒家ですか?

 

加藤:そうなんです。もともとは地元のテーラーさんがお店をやっていた、という2階建ての物件です。広さは30坪くらいですね。2階もあって、そこをスタッフルーム兼倉庫にしているので、1階を広々と活用できるんですよ。
将来を見込んで、セット面とシャンプー台を増設できるようにしてあるのですが、それでも充分ゆとりのある空間です。

 

セット面は5面、フルフラットタイプのシャンプー台が2台。先々を見越して、セット面3面、シャンプー台2台が増設できるようになっている。

 

TOMOTOMO:じゃあ、オープンするときから「これから人を増やしていこう」と思ってスタートしたってことですか。

 

加藤:そうですね。店舗を増やして大きくするというよりは、今のスペースをフル活用しながら、色々可能性を探ってチャンレンジしたいと思って。

 

TOMOTOMO:早速色々掘り下げていきたいところだけど、まず最初に、これまでの経歴やこのエリアを選んだ理由を聞かせてください。 何かゆかりがあったとか?

 

加藤:僕はこれまで3つの美容室でお世話になってきて、どれも名古屋郊外で展開しているお店でした。独立してこの店をオープンさせたのは、2016年の3月9日ですね。ここ上小田井は名古屋駅まで電車で約10分という、中心地にも近くて住みやすい、利便性の高い郊外エリアなんです。これから先人口が減っていくと言われているじゃないですか。その中で人の流れを考えたときに、便利なところに人も物も集まりやすくなる。上小田井もそういうエリアに変化していくんじゃないかと思って、この場所を選びました。何より、この物件との出会いは大きかったです。

 

サロンの扉を開けると、広々としたウェイティングスペースが広がる。シックな大人好みの空間。

 

TOMOTOMO:オープンしてちょうど3年のタイミングなんですね。今のお話だと、中心地で働きつつ住まいはこっち、みたいな30代くらいの人が顧客なのかなって感じがするんですけど??

 

加藤:「生活環境が変わってもオシャレを楽しみたい女性」をメインターゲットと考えてて、年齢層としては、30代~40代が1番のボリュームゾーンです。ついで20代後半、50代~60代という感じ。現状、若い世代のお客様の割合は少ないのですが、そのゾーンは、若いスタッフが育ってきた「旬」のタイミングに合わせてアプローチをかけようと思ってて。スタッフ一人ひとりの状況に合わせて頃合を見計らいながらなので、ある意味、出し惜しみをしている感じです。

 

TOMOTOMO:オープン当初の集客ってどうでした? 告知とかって、しっかりできてたんですか??

 

加藤:いや、前職場の手前もあって、勤めているときは既存のお客様に告知をしていなかったんですよ。なので、オープン前に新聞の折込チラシを広範囲に打ちました。今はポータルサイトは使わずに、自社アプリを使った口コミを集客のメインにしています。

 

かつては地元のテーラーが店を営んでいた約30坪の物件。最寄駅から徒歩3分ほどの立地。自然光が店内にたっぷりと注がれる。

 

TOMOTOMO:新聞の折込チラシを選んだのはどうしてですか?

 

加藤:どんなお客様に知って欲しいかを考えたときに、ネットで不特定多数に告知するよりも、直接届くほうが効果があると読んだんです。お店をやってくには、単価アップやリピート率アップも考える必要があるじゃないですか。価値に対して相応の料金をお支払いいただけるお客様に来て欲しいと思ったときに、無料で誰もが簡単に得られる情報じゃなく、料金はかかるけど新聞という情報ソースに価値を感じている層に向けて告知をするほうがいいかなと考えました。

 

TOMOTOMO:これまで担当してきたお客様のことも含めて考えたときに、その選択肢がフィットした、ということなんですね。あと、自社アプリでの口コミっていうのは?

 

加藤:予約管理やポイントカードの機能を持たせたオリジナルアプリがあるのですが、SNSと連携させると、うちのお店のことをシェアできるようになってるんです。シェアするとクーポンがもらえる仕組みになっています。やっぱり、友人間の口コミは影響も大きいですし、単純に価格だけじゃない魅力を求めている方に知って欲しいと思ってスタートしました。

 

 

TOMOTOMO:ちなみに、独立資金はどれくらいかけて貯めたんですか??

 

加藤:だいだい4年くらいですね。もともと、いつかは独立、と考えていたので貯めようという気持ちはいつもあったのですが、本格的に取り組み始めたのはそれくらいからです。というか、妻が僕の独立したい気持ちを汲んでくれて、ちゃんとお金を管理してくれてたのが大きかったんですけど(笑)。結婚するときにいただいたご祝儀も使わずに貯めたりもして。
あとは、店舗設備費や運転資金、自己資金のバランスを考えながら公庫から借り入れをして、という感じです。合計でだいたい1,500~1,600万円くらいだったかな。お金にまつわることは、前のお店で店舗運営や幹部としての教育をしてもらっていたこともあり、どういうものが必要かはイメージしていました。

 

 

TOMOTOMO:冒頭でチャレンジって言葉がありましたよね? アプリをつくったのもその一環なのかなと思うのですが、独立をするにあたって、どんなことを目指そうと??

 

加藤:これまでのセオリーに左右されない美容室にチャレンジしたかったんですよね。自分でお店を持つということは、方向性を決めて舵取りをするのが自分自身ということじゃないですか。それって、色んな可能性を探れるということでもあるなと。
店にいると、どうしても「サロンワークのための美容」になりがちだと思うんです。でも美容って、撮影やコンテスト、着付にメイクにブライダル・・・色んな形があるじゃないですか。各々が「自分の好きな美容」に没頭できて、それをとことん楽しんでイキイキできる。そんな環境のサロンをつくりたいと思ってスタートしました。

 

TOMOTOMO:じゃあ、自分のやりたい美容にチャレンジできるような仕組みもつくっているということ?

 

加藤:そうですね、そのために営業時間の設定も工夫していて。第3日曜日を定休日にしたり、日曜・祝日は17時まで、あとは木曜日は22時までのナイター営業をしています。僕ら美容師以外の人達の生活リズムに近づけた働き方で、新たなインスピレーションを生み出すキッカケになればと思っています。今後は、もっと多様な環境の人達の働き方にフレキシブルに対応できるようにしていきたくて。

 

TOMOTOMO:3年やってみての実感はどうですか?

 

加藤:いやぁ、なかなか大変です。0からつくるって本当に大変で(笑)。色んな人が集まれる場所にしたいという思いはありつつも、日々の仕事と並行しながらだと、なかなか手が回らなくて本当にもどかしいです。ヨガだったりマルシェだったり、やりたいことやアイデアは沢山あるんですけど・・・。

 

 

TOMOTOMO:お店自体を地域のコミュニティのような場にしたいんですね。 ちなみに、今ってどんな体制で営業しているんですか??

 

加藤:今は僕と妻、アシスタント1人とパートさん1人、フロントさんの5人なのですが、妻は育児の関係で時短勤務、パートさんは産休中なので、フルタイムで営業しているのは僕とアシスタントの久保田ですね。久保田はオープンしたときは美容学校生だったのですが、その年の秋からアルバイトとして来てくれているので、ほぼオープン当初からのメンバーです。

 

TOMOTOMO:独立する前までは、加藤さんもスタッフ側だったわけですけど、雇用する側になってみて何か変わりましたか?

 

加藤:いちスタイリストなら、お客様に向けた発信がメインになるかと思いますが、オーナーとなると、スタッフに対する動機付けも考える必要がでてくるんですよね。久保田を例にすると、彼女にとってはこの店で見ているものや教わっていることがこの先のスタンダードになってしまうわけですよね。とりわけ、日々一緒に仕事をしている僕のやり方は影響が大きい。だからこそ、彼女の未来のお客様にも受け入れてもらえる技術、そして愛される人間性を伝えたいと思っているんです。

 

 

TOMOTOMO:久保田さんは、美容師のキャリアはちょうど丸2年というところですよね?今の時点で目標とか、やってみたいことって何ですか?

 

久保田:年内中にスタイリスト昇格を目指しています。あとは、もうすぐ着付けのコンテストに出場するので、そこを頑張っている感じですね。

 

TOMOTOMO:もともと着付けに興味が??

 

久保田:はい。美容学校もブライダルクラスでした。なので、将来的には着付けとかブライダルの道をメインにやりたいと思っているんです。着付けの練習に関しては、加藤に紹介してもらった先生のお店に伺って教わっています。

 

久保田さんは美容学校生時代からアルバイトとしてtrico hairに参加。ブライダルの道を目指して、サロンワークと並行して着付けを勉強中。

 

加藤:彼女は将来的にブライダルの道に進みたいとのことなのでうちの店を巣立つ可能性もあるわけですけど、そうなったときに自分を確立できるようにすることが、こちらの役目なんです。プロデュースというか、意思を持って取り組んでいる人を、店としてどう応援していけるかを考えていくことが大切かなと思っています。

 

TOMOTOMO:つまり、今メニューにないものであっても、スタッフさんに何か取り組みたいものがあったり、あるいはその技能を持っているのであれば、お店として一緒に取り組んでいこうというわけですね。それによって、お店自体が充実したり、人が幅広く活躍できるプラットフォームになったり、可能性があると。今、ちょうど丸3年ですけど、これからの展望は??

 

加藤:そうですね、今色々と手をつけている取り組みを、根付かせていきたいです。メニューでもケアだったり、メンテナンスだったり、素材美を保つ提案しているのですが、現状はまだだまなので、より浸透させていきたいです。あとは、若い世代のお客様にもアプローチできればと思っています。久保田もスタイリスト昇格が近いですし、新たに若いスタッフを採用するときにも、同世代のお客様との関わりも必要になると思うので。そのためにも、僕自身が見聞を広げて、発想の間口を大きくしていきたいですね。

 

 

★SALON DATA★
サロン名:trico hair
コンセプト:毎日、自身のトリコに
立地:名鉄犬山線・地下鉄舞鶴線 上小田井駅から徒歩3分
スタッフ:スタイリスト2人、アシスタント2人、レセプショニスト1人
セット面5面、シャンプー台フルフラットタイプ2台

 

★OWNER PROFILE★
加藤友幸 1980年9月18日生まれ。愛知県みよし市出身。愛知美容専門学校卒業後、愛知県内3店舗を経て、2016年3月に名古屋市西区上小田井に『trico hair』をオープン。

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