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若手オーナーインタビュー / 髪と暮らしに心地よさを灯す『Hair&Life Style TOMOS』

いまや、美容室は「髪を切る場所」プラスαの付加価値が求められる時代に。そんな中で、みんながどんな風に考えて、どんなお店づくりをしているのか?は気になるところですよね! ということで、自分でお店を構える若手オーナーにインタビュー。オープンする場所やコンセプトづくりなど、独立に関わることも聞いていきます! 今回は、埼玉県北浦和の『Hari&Life Style TOMOS』のオーナー駒崎真史さんを訪ねました。

 


オーナースタイリストの駒崎さん(左)とスタイリストの菊池さん(右)。受付や物販を担当する駒崎さんの妻・祐希子さんと3人でお店を運営している。

 

TOMOTOMO:なんだか優しい雰囲気のお店ですね~。色々聞いてみたいんですが、まずはですね、オープンしてからどれくらいですか?? あと、簡単にこれまでの経歴も聞いていいですか??

 

駒崎:2017年の7月にオープンしたので、1年半くらいです。僕は地元が大宮で、美容学校を卒業してから最初に勤めたのも大宮のサロンでした。それから東京のサロンに10年ほどお世話になって、独立したという流れです。

 

TOMOTOMO:地元が大宮なら、大宮にお店出そうと思わなかったんですか??

 

駒崎:それも考えましたが、大宮は美容室の軒数もかなり多いですし、僕が来て欲しいと思うお客様の層と照らし合わせたときに北浦和のほうが合っていると思ったんです。店名の頭で「Hair&Life Style」と謳っているように、ライフスタイルも提案していけるサロンにしたかったんです。髪を切るだけの場所じゃなくて、人生を豊かに楽しんでもらえるような何かを灯す場所になれたらと。北浦和は文教地区ですし、そういうコンセプトにも共感してくれるじゃないかと思って。


店内は、高校時代の友人がデザイン・設計してくれた。テーブルや棚などの家具は、栃木県益子町で買い付けたこだわりの古家具。

 

TOMOTOMO:そういうコンセプトって、どんなふうに具体的になっていくんですか? 前に勤めていたお店への反骨精神とか・・・・・・??

 

駒崎:そうじゃないです(笑)。これまで美容師をしてきた中で何が自分にとって一番だったかを考えたときに、技術やクリエーションももちろんあるんですけど、沢山のお客様との出会いを通じて自分が成長できたことだったんです。独立したら自分が思ったことを100%やって、お客様に還元していきたかったんですよね。
個人的な話になってしまいますけど、自分にも子どもができたことも大きくて。外見の美容だけじゃなくて、心の面もキレイで笑顔でいられることを提案したいなと。

TOMOTOMO:実際のところ、お客様はどんな反応なんですか? やっぱり子育て世代が多いんですかね?

 

駒崎:そうですね、北浦和はベッドタウンで、都内から入ってきた子育て世代か地元のシニアの方が多いエリアなんです。うちに来てくれるお客様も20代後半より上の方で、やはり子育て世代の方が多いですね。このあたりに住んでいる方が主なのですが、都内からの新規もちょこちょこと。割合として多くはないですが、僕が以前担当していた方もわざわざ来てくれています。有難いことに、「こんな美容室を探してた」というお声をよくいただきます。

 

TOMOTOMO:店内をゆったりしたつくりにしているのも、子育て世代が過ごしやすいように、という狙いで??

 

駒崎:そうなんです。キッズスペースを設けているお店もあると思うんですけど、僕はカット中にも一緒に過ごせるようにしたくて。だから、セット面がかなり広いんですよ。今、僕と妻とスタイリストの菊池との3人体制なのですが、妻は店のオープンに合わせて保育士の資格も取ってくれて。


お子様と一緒に過ごせるようにと、セット面は広めに。

 

TOMOTOMO:それは心強いですね! 奥様も美容師さんなんですか??

 

駒崎:いえ、妻は美容師免許を持っていないので、営業面では受付としてサポートしてもらっています。あと、今待合のスペースでハンドメイド作家のアクセサリーやステーショナリーを委託販売しているのですが、作家さんのチョイスからやり取りまで妻がやってくれています。お客様が日常的にお店に足を運びやすい環境にしたかったので、他に狭山のお茶や、大宮のコアなレコードショップにセレクトしていただいたCDも置いています。


待合スペースでハンドメイド作家によるプロダクトを委託販売。祐希子さんが作家のセレクトから交渉までを担当して、季節に合わせて変えている。

 

TOMOTOMO:地元の魅力を再発見できて、かつフラリと立ち寄れるようなスペースにしたかったと?

 

駒崎:北浦和って、地元を盛り上げたいと考えている人が多くて。主に飲食店や衣類や雑貨のセレクトショップなのですが、ちょっと他にないような、面白いお店が集まってるエリアでもあるんですよ。実はその背景には危機感があって。それこそ埼玉は人口は多いんですが東京に近い分、何か魅力やこだわりを打ち出さないと、なかなか地域の人の目に留めてもらえないんです。美容室はポータルサイトを使えば何とか集客はできるかも知れないですが、どうしても価格勝負になってしまうじゃないですか。そうではない自分のお店ならではの魅力をつくっていきたいと思ったんです。


地元を盛り上げるため、埼玉県の狭山茶や大宮のレコードショップにセレクトしてもらったCDも販売。地元の魅力を伝える雑誌や書籍も多数。

 

TOMOTOMO:“ならでは”を掘り下げていくと、お店の雰囲気はもちろんだと思いますけど、メニュー提案や技術提案もかかわってくるじゃないですか。そのへんはどうですか?

 

駒崎:この1年半はもう、「ひたすら丁寧に」をモットーにしてやってきました。お客様には、頭皮と髪のケアの習慣化を提案していますね。ケミカルメニューをしたらケアをする、というサイクルを意識してもらうように、スパメニューの提案や、カラーもゼロテクで徹底したりして。


シャンプー台はフルフラットタイプが2台。ヘッドスパやトリートメントを積極的に提案している。

 

TOMOTOMO:料金の面ではどうですか? 習慣化してもらうとなると、お客様のおサイフ事情も考えたりするのかなと思うんですけど。

 

駒崎:スパに関しては魅力を体験できる機会を増やしたいので、30分3,240円というのを用意しています。カット+カラー+トリートメントになると16,000円~18,000円。あとは、通常のカット料金が5,500円なのに対して、お子様のカットは2,000円にしていて、親子でも気軽に来ていただけるようにしています。僕がターゲットとするお客様の層をイメージして設定しました。

 

TOMOTOMO:エリアの中では高いほうなんじゃないですか?

 

駒崎:どうでしょうね。ランク指名をすると5,000円、6,000円というサロンさんもあるので、群を抜いて高い、ということもないようです。ただ、納得感のある技術と空間づくりは意識しています。2~3時間で約20,000円を支払うって、20~30代の人からすればそれなりの金額だと思うんです。なので、その重みはちゃんと意識しておかないといけないですね。


お店はJR北浦和駅から徒歩3分の2階。扉を開けるとベルがあり、ベビーカーのお客様も安心して入店できるようにしている。

 

TOMOTOMO:お金の話ついでと言ってはなんですが、オープン資金はどうされたんですか?

 

駒崎:独立資金として、3年くらい貯金をしていました。東京暮らしだったので、潤沢に、というわけでもなかったのですが、頭金分はちゃんと用意できるくらいまでにはなりましたね。僕と妻の両親からもお祝い金というかたちで応援もしてもらえて、感謝しきりです。あとは、公庫の融資ですね。最初はスタッフをどのタイミングで募集するかなども決めていなかったので、僕1人の売上でやっていけるような計画を立てて。資金のことはどうやっていいか全然分からなくて、知人に教えてもらいながらのスタートでした。

 

TOMOTOMO:駒崎さん自身の努力に加えて、周りの人達のサポートあっての独立だったんですね! なんだか今すごく楽しくお店を動かしているなと感じるんですが、苦労とかなかったですか?

 

駒崎:正直今まで苦労はなかったんですよね。お店の内装も高校時代の同級生が設計してくれたり、ロゴも高校生の頃から担当しているお客様がデザイナーになっていて、その子が作ってくれたりして。周りの人に助けられながら、楽しみながらやってこれました。

苦労というか、考えないといけないのはこれから先ですね。有難いことにお客様からの認知度も上がっていて、予約をお断りしなきゃいけないことも多々あって。


駒崎さんがアシスタントの頃からお世話になっているというお客様が、オープン時にプレゼントしてくれた手作りの時計。店のロゴは高校生の頃から担当しているお客様がデザインしてくれた。

 

TOMOTOMO:これからスタッフさんを増やしていきたいわけですね。大きく拡大していきたい、みたいな考えもあるんですか?

 

駒崎:うちのお店を求めてきてくださるお客様を、全員受け入れたいなと思ってて。大きくすることが目的じゃなくて、それを一緒にやってくれる人を募っていきたいです。そのうえで、技術や接客も含めてお店のコンセプトをどんな風に共有していくかは考えないといけないと思っています。同時に、雇っていけるだけの収益も必要になるので、今やっている取り組みをちゃんと利益につなげたいです。正直、ここが一番苦手で・・・(笑)。

 

TOMOTOMO:そのためにも、駒崎さん自身もお勉強しなきゃですね!

 

駒崎:そうなんですよ。やっぱり小さなサロンなので、アンテナを張って自分から情報を取りにいかないとダメで。意識的にセミナーに行ったり、サロンオーナーをやっている友人たちと集まって勉強会をしたりしてます。外からの空気に触れてないと、どうしても地元っぽくなり過ぎて埋もれちゃいますから。


この日最初のお客様は、前店から駒崎さんが担当している横浜からのお客様。「違うお店も行ってみたんだけど、やっぱり駒崎さんのカットじゃないと」と通ってくれている。

 

TOMOTOMO:そっかぁ、地域には根ざしていつつも、キラッと目立っていたいですもんね。じゃあ最後の質問! オープン丸3年まであと1年半、やりたいことを教えてください!

 

駒崎:今まで試行錯誤してやってきたことを、お店の文化として根付かせていきたいです。過ごしやすい空間、丁寧な技術、リラックスできる時間を、当たり前に提供できるように。あとは、サロンスペースを活かしたワークショップや、より魅力的で効果的なメニュー提案も考えているので、自分自身も勉強していきたいと思っています。

 

 

★SALON DATA★
サロン名:Hair&Life Style TOMOS
コンセプト:髪と暮らしに心地よさを灯す
立地:JR北浦和駅から徒歩3分
スタッフ:スタイリスト1人、アシスタント1人、レセプショニスト1人
セット面3面、シャンプー台フルフラットタイプ2台

★OWNER PROFILE★
駒崎真史 1982年9月2日生まれ。埼玉県大宮市出身。アーデン山中ビューティーアカデミー卒業後、埼玉県内1店舗、東京都内1店舗を経て、2017年7月に北浦和に『Hair&Life Style TOMOS』をオープン。

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