自分の「好き」に共感する相手に
発揮するエロさ
阿形さんのInstagram(@satomi.agata)より
―阿形さんが提唱する今の“エロ髪”って?
よく“モテ髪”と混同されやすいんですけど、“エロ髪”はあくまでも自分が好きなものを一番大事にしますね。モテは広く相手に合わすのに対して、エロは自分の「好き」に共感してくれる人に対して色気を発揮したい、という。
例えばモードテイストが好きな人なら、コンサバな男に惚れられたいなんて思ってないわけで、自分の志向性と合う人からエロい目で見られればそれでOKなんです。
―ヘアでエロさを醸し出すポイントは?
エロ髪の4つの定義(定義は阿形さんのブログにて)の中の1つでもある「抜け感」。自然体と言ってもいいですね。頑張ってる感は相手側にとっても重いというか、引かれちゃうと思うので、あくまでも肩肘張らない自然な雰囲気がポイントです。
技術的には、ドライでのスライドカットは絶対入れてますね。バームやオイルでサラッと束感が出て、わざとらしくないヘルシーなエロさをつくっています。
コンサバ派? 個性派?
どちらのタイプかを知る
―お客様のどんなところからテイストを判断する?
初めましての方だったら、まず最初にコンサバティブなのかアグレッシブなのか、タイプを捉えます。
例えばカウンセリングの時に、ご自分の顔型を気にしていたり顔が大きく見えないか心配する方は、人から良く見られたい気持ちがあるから、エッジの効いたことはしません。逆に、小顔とか気にしていない方は、やりたいことを優先してあげています。
まず大枠のタイプを判断しつつ、それからファッションを見て細分化をする感じ。小物にも気を遣っている人なら、エッジ効かせたいのかな? など、ある程度アタリをつけながら、ヒアリングして詰めていく流れです。
褒められたいワードから見える
なりたい女性像
阿形さんのInstagram(@satomi.agata)より
―細かい雰囲気やテイストを掴むコツは?
どう褒められたいか聞きますね。カワイイとカッコイイだったら、どっちが嬉しいか?や、子どもっぽくなりたくないといった、お客様が言ってくれたポイントを大事にします。
よく「似合う髪型にしてください」と言われることがあるんですけど、そういう時は今の気分を聞くことも多いです。
恋愛したいときなのか、仕事を頑張りたいときなのか、環境によって気持ちって変わるので、今どんなタイミングなのかを教えてもらって。
私の中でそういう雰囲気になれる髪型がいくつか浮かぶので、どれがいいですか?という感じで選んでもらいますね。もちろん、断言してあげたほうがいいタイプのお客様だっらた、コレ!と言います。
どこに魅力を感じているのか探る
―叶えてあげると喜ばれるポイントってある?
ヘア画像を持ってきてくれた方なら、画像のどこに一番魅力を感じているのかを聞きますね。というのも、画像そのものにしたい人って少なくて、大体は、「この髪型の雰囲気で私に似合わせて欲しい」と思っているので。
長さの場合もあれば、シルエット、前髪、色、女性像ということもあるので、そこは普通に聞いちゃうかも。
予測する →
一言で答えられる問いかけ
阿形さんのInstagram(@satomi.agata)より
―聞き方のコツってあるの?
はい・いいえで答えられる聞き方にしてます。私、最近ウルフのお客様が多いのでそれを例にすると、既に1回どこかでチャレンジしている方なら物足りていないということだから、「もう少しエッジ効かせていいですよね?」みたいな。
察しをつけつつ、答えやすい質問を投げかけることで、分かりあえた空気感もつくれるなと思ってます。
阿形さんのInstagram(@satomi.agata)より
―逆に、これをはやっちゃダメ!なことは?
否定です。やりたいことに対して「いや、それは…」みたいな。止めるのはいいんですけど、最初の一言で否定をすることは絶対しないようにしてます。
例えば、かなりブリーチしている人がパーマかけたい、という絶対避けたい場合でも「いいですよね、だけどね…」という風に、まず共感してから言うべきことを言いますね。でも、本当にダメなときはすぐ言う場合もありますが。
―その差はなにが違うの?
髪が傷むような行為に対してははっきりダメ、やりたいことに対しては共感します。
髪型が似合うかどうかは私の技量でどうにかすることなので、そもそも否定することじゃないなと思うんです。でも髪のコンディションが悪くなることは、なりたいイメージからも離れていくことなので、それは止めますよね。
大人っぽく=色気
と心得よ
―お客様のなりたい雰囲気を引き出す武器を教えて!
お客様が悩みを打ち明け言いやすいことだと思います。私自身、ブログやSNSでプライベートからクセ毛の悩み、エロ髪といった考えを自己開示していることが大きいんですよね。
30代女性の要望でよく「大人っぽくなりたい」ってありますが、それは「色気が欲しい」という意味なんです。
お客様からしてみれば、初対面の美容師に言うのは恥ずかしいワードだから言い換えてしまうんだけど、私の場合は自分が先に発信しているから言ってもらいやすいんですよ。
「大人っぽく」を「色気」に変換して話を聞いてみると、お客様がどういう雰囲気やテイストを求めているのか、イメージしやすくなるんじゃないかと思いますね。
PROFILE
阿形聡美(あがた・さとみ)
1986年9月13日。東京都生まれ、ドイツ、兵庫県育ち。関西美容専門学校卒業。都内1店舗を経て2008年NORAに入社。NORA Journeyの立ち上げに参画し、2013年のオープンとともに異動。ヘルシーな色気を纏った女性像を打ち出す「エロ髪美容師」として、20~30代の女性から高い支持を得る。筋トレ大好き美容師としても一面も。