クールさと女性らしさを共存させた、ナチュラルなハンサムショートを数多く提案しているAFLOAT D’Lの柳原弘樹さん。TOMOTOMO vol.10では「耳かけショート」のベーシックな切り方~お客様に合わせたカスタマイズ方法をたくさん解説してもらいました! 色んなショートを狙い通りにつくるコツは、スタイルを読み解いて【セクション】に分けること。耳かけショートのプロトタイプを例にして、セクション分けにチャレンジしてみましょう!
ヘア / 柳原弘樹 [AFLOAT D’L]
耳かけショートのプロトタイプを
読み解いていこう
こちら、耳かけショートのプロトタイプ。つまり基本形です。
「耳かけ」という前提は忘れて、まずここからどんな情報が得られるか、ザックリ挙げてみましょう。
→前髪が長めで流れている
→センターパートっぽい
→前髪とサイドがつながっているように見える
→耳が出ている
→形は丸いけどちょっと軽い
→ヌケ感がある
→えり足がある(刈り上げではなさそう)
…etc
なんとなく印象を捉えたら、次はもうちょっと細かくみていきます。
前髪セクションを見分ける
まず前髪。
それぞれの毛束の根元と毛先の位置に注目して観察してみると、放射状に落ちていることが分かります。
ラインはセンターが短くて端が長いラウンドなので、セクションを三角形に取っているのでは?ということが想像できます。
表面の流れている髪も前髪の一部と仮定すると、その辺が三角形セクションの頂点。
放射状に落ちている髪の根元を追っていくと、横幅は黒目幅くらいかも?
と予測できます。
サイドのアウトラインを
つくっているのは…?
一見サイドが短くも見えますが、じっくり観察すると、アウトライン(っぽいもの)をつくっているのはサイドの上側の髪。適度な厚みもあるので、内側の髪は耳にかけているのかも?と予測できます。
また、サイドトップの髪を後ろに流しているので、スッキリした印象が強調されているようです。
前髪とサイドのつながりを見る
ここからサイドシルエット。
前髪~サイドを見てみると、耳後ろの髪まで、自然につながっているように見えます。
実際のサイドアウトラインは見えていないですが、それぞれを独立させるのではなく、つなげてカットしているのかも?と予測。
サイドはどんな段がついてる?
サイドシルエットを見てみると、髪が積み重なっていっているような段が入っていることが分かります。段差の角度もそれほど急ではなく、ゆるやか。
また、表面にはやや軽さがあり、リバースに流すことでよりスッキリした印象になっています。
サイドとバックの割合にも注目
サイドとバックのボリューム感を見てみると、だいたい同じくらいの比率になっています。生え際の位置や毛量に合わせて、割合が1:1になるように前後を分けるとよさそう。
ウエイト位置をチェック
バックを見てみましょう。
まず注目したいのは、ウエイト(髪の重なりでできた重さのある丸い部分)の位置。
一番ボリュームがあるのは、頭の真ん中よりやや下の位置になっています。表面にも長さがあるので、グラデーションでつくられていそう。
ボリューム感の違いを見る
丸いウエイトがある上側に比べて、下側のネープは直線的でスッキリしています。
このことから、上下でカットの構成が違っていると考えられます。
段の角度はどうなってる?
丸さのある上側の段差の角度をチェック。
ネープとつながっている部分~表面の髪を見てみると、やや前上がりになっていることが分かります。
また、表面はゴールデンポイントから放射状に落ちていて、頭の形に沿った段差をつくっています。
デザインポイントや
段の違いに合わせて分ける
耳かけショートのプロトタイプのセクション分けは、
・前髪(女性像にかかわるキーポイント)
・サイドアウトライン(耳にかかる長さを確実にキープ)
・サイド(段差をつけてフォルムコントロール)
・ネープ(タイトにしてスッキリ)
・バック(頭の丸に沿った段差とウエイトづくり)
というものでした!
デザインの印象を左右するところや、段のつけ方を変えるポイントで分けられていたんですね。
“ヘアスタイルを分析”みたいに言うと難しい印象になってしまいますが、言うなればスタイルづくりのヒントを探すこと。
アタマがどんな風に分けられているのか分かることで、つくりたいヘアスタイルにより近づけることができるので、ぜひセクションを意識して髪をみてみてくださいね!
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