感染症ってどんなもの? その対策とは?

新型コロナウイルスの影響によって、多くの理美容室のみなさんが休業または部分的な営業など、自粛対応をされています。その中で、営業再開に向けて具体的な準備や対応策の準備を進めている方も沢山いるのではないでしょうか? 理美容室は、今回の新型コロナウイルスはもちろん、様々な感染症への対策が求められます。このタイミングで、ぜひみなさんのお店の衛生管理を見直してみてください。

感染症ってなに?          

そもそも感染症は、ウイルスや細菌といった病原体が人などの体に侵入して、何かしらの症状が現れる病気のことを言います。

病原体に感染しても症状が出る場合と出ない場合があって、それは、病原体の感染力や体の抵抗力によって差があります。

参考資料
●保育所における感染症対策ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
●AMR臨床リファレンスセンター 感染症とは
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-1.html

ウイルスは細菌?          

ウイルスは細胞を持たない小さな粒子のようなもので、細菌の50分の1程度の大きさ。自分だけで増える機能は持っていないので、人の細胞などに侵入して増えていくといわれています。

一方で細菌は、栄養源があれば自分と同じ細菌を増やしていくことができます。

ちなみに、新型コロナウイルスは、コロナウイルスの一つです。
コロナウイルスの大きさは、直径約100ナノメートル※程度と言われています。
※100ナノメートル=0.1マイクロメートル=0.0001ミリメートル

参考資料
●AMR臨床リファレンスセンター 細菌とウイルス
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-2.html
●厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A「新型コロナウイルス」とは、どのようなウイルスですか。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-1
●国立感染症研究所 コロナウイルスとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

感染症を予防するには?
感染経路を知る          

感染症には、「病原体(症状が出る原因)」、「感染経路(病原体がどう広まるか)」、「宿主(感染する可能性がある人など)」という3つが関わってきます。

日常での予防については「感染経路」を遮断することが大事になります。
そして、感染経路には以下の6パターンがあるとされています。

①飛沫(ひまつ)感染 感染している人の咳やくしゃみ、会話によって飛び散ったしぶきを吸い込むことによる感染。
②空気感染(飛沫核感染) 感染している人の飛沫が乾いて、病原体が空気の流れで広まることによる感染。
③接触感染 病原体が付いた手などで口や鼻、目を触るなどすることによる感染。
④経口感染 病原体を含んだ食べ物や飲み物を口にすることによる感染。
⑤血液媒介感染 病原体が潜んでいる血液が傷口や粘膜につくことによる感染。
⑥蚊媒介感染 病原体を持った蚊に刺されることによる感染。

まさに今流行している新型コロナウイルスの主な感染経路は、このうちの①飛沫感染③接触感染だと言われています。

参考資料
●厚生労働省 高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版 パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000501120.pdf
●厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
●厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622473.pdf
●厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-2

接触感染を予防するには?
手洗いをしっかり          

新型コロナウイルスの主な感染経路と言われる接触感染ですが、どのように予防することができるのでしょうか。

まず接触感染が起こる原因は、①感染源に直接触れる場合と②汚染された物(ドアノブや手すりなど)を介する場合があります。
通常、体の表面に病原体が付着しただけでは感染せず、病原体が体に侵入することで感染するようです。例えば、病原体が付いている手で口、鼻、目などを触ったり、汚染されたものを舐めたりすることで病原体が体に入ってくるということです。

もっとも重要な対策としては、手洗いを丁寧にしっかりすること。
特にウイルスの場合は自力で数を増やす機能を持たないため、洗い流してしまえば感染リスクを減らすことができます。
またウイルスはステンレスなど平らなものの表面では24時間〜72時間くらいまで感染する力を持っていると言われていますが、時間が経つことで壊れて感染力を失っていきます。

気をつけたいのは、人が頻繁に触る場所に触れたとき
ドアノブやエレベーターのボタン、現金、クレジットカード、ATMのタッチパネルなど、たくさんの人が触れる場所であるほど、元気なウイルス量が高い可能性があります。

なので、ウイルスが付着している恐れのある場所に触れたときには、可能な限り手を洗う・消毒するなどすることが大切になります。
また手洗いは、自分の予防だけではなく、自分の手についたウイルスを周りの人に拡がることも防ぐことができるので、洗える状況なら可能な限り洗うといいと思います。

正しい手指消毒・手洗い▼
高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版 パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000501122.pdf

参考資料
●厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
●厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A「新型コロナウイルス」とは、どのようなウイルスですか。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-1
●AMR臨床リファレンスセンター 基本的な感染対策をしましょう
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-6-3.html

接触感染を予防するには?
消毒を見直す          

接触感染のリスクを減らすうえでは、病原体が付着している恐れのある場所の消毒も効果的だと言えそうです。

理容室、美容室ではもともとスペースや設備、道具類を清潔に保つことが求められていますので、このタイミングで、サロン内での消毒の仕方や方法を再確認することが大切ではないでしょうか。

■消毒の手順
消毒前の洗浄(こすり洗い)→消毒→水洗→保管

 ■道具類の消毒①(カミソリ / 血液の付着が疑われるもの)

煮沸消毒による消毒 100度 2分間以上の煮沸
エタノールによる消毒 消毒用エタノールに10分間以上浸す
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液に10分間浸す

■道具類の消毒②(カミソリ以外の器具で血液が付着している疑いのないもの)

紫外線照射による消毒 85マイクロワット/㎠以上の紫外線を連続20分間以上照射
蒸気消毒 80度以上の蒸気に10分以上触れさせる
エタノールによる消毒 消毒用エタノールを含ませた綿やガーゼでふく
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒 0.01%〜0.1%次亜塩素酸ナトリウム液中に10分間以上浸す
逆性石けん液による消毒 0.1%〜0.2%逆性石けん液中に10分間以上浸す
グルコン酸クロルヘキシジンによる消毒 0.05%グルコン酸クロルヘキシジン液中に10分間以上浸す
両性界面活性剤による消毒 0.1%〜0.2%両性界面活性剤液中に10分間以上浸す

■タオル類の消毒

加熱消毒 洗剤で洗濯→蒸気消毒器で80度を超えてから10分間以上
消毒液による消毒 次亜塩素酸ナトリウム液に浸す→洗濯

■店内の衛生管理

毎日の清掃で清潔に保つ
ドアノブ、手すり、照明のスイッチ…水拭き→アルコール消毒
換気
加湿器を使用している場合…水を毎日交換
タオル…共用しない、一人ひとり変える
トイレのドアノブ、手すり、照明のスイッチ…水拭き→消毒用エタノール、塩素系消毒薬などで消毒

参考資料
●全国生活衛生営業指導センター 消毒方法パンフレット
http://www.seiei.or.jp/book/shodoku_01.pdf
●厚生労働省 理容所及び美容所における衛生管理要領
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000124040.pdf
●保育所における感染症対策ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf

飛沫感染を予防するには?
“距離をとる”が1番、ですが…          

つづいては飛沫感染です。

まず飛沫(ひまつ)というのは直径5マイクロメートルより大きい水の粒を指すことが多く、約1メートル前後で地上に落ちると言われています。
しかし、飛沫のサイズや量は、飛沫がつくられた過程(呼吸、咳、くしゃみなど)や、呼気の速さ、あるいは個人差も大きいと言われているので、飛沫がどこまで届くかは、状況によっても差があるようです。

新型コロナウイルスの感染予防でも推奨されているように、人との距離をとることが飛沫感染のリスク軽減には有効なのですが、理容室や美容室では、距離を空けるにも限界があるのも事実です。
そのうえでは、マスクをつかって飛沫の拡散量を減らしたり、会話を最小限にしたり(5分間話すだけでも3000個程度の飛沫と飛沫核を発生させるというデータがあります)、定期的にうがいをするなど、リスクを少しでも減らす工夫をすることが大切ではないでしょうか。

参考資料
●第1回重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する講演会の概要
https://www.anzen.mofa.go.jp/sars/k_1.html
●厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A 感染を予防するために注意することはありますか。心配な場合には、どのように対応すればよいですか。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q3-1
●CDC How to Protect Yourself & Others
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/prevention.html
●WHO Publication/Guidelines Natural Ventilations for Infection Control in Health-Care Settings
https://www.who.int/water_sanitation_health/publications/natural_ventilation.pdf

飛沫感染を予防するには?
マスクは有効?          

マスクを使う目的として、①人にうつさない(飛沫を飛ばさない)、②人からうつされない(飛沫を吸い込まない)、という2つがあります。

マスクには家庭用、医療用、産業用と、用途によって種類があって、防げるものの程度が異なるようです。

家庭用マスクの中でも風邪・ウイルス対策用マスクは、5マイクロメートル程度の飛沫の拡散を減らすことはできるようですが、より小さいウイルスそのものを防ぎきることは難しいとされています。
一方で、のどの乾燥を防いで、異物を排出する機能を下げない効果は期待できるそう。

そのため、マスクをつけていればOK、と過信してしまうことはリスクを高める原因に。
着用時に隙間があったり、鼻を出した状態にしていると当然効果は期待できなくなりますので、あくまでもリスクを下げるものだと捉えて、正しく着用したり、マスクをつけていても咳エチケットを意識することが大切です。

参考資料
●一般社団法人日本衛生材料工業連合会
http://www.jhpia.or.jp/product/mask/index.html
●一般社団法人日本衛生材料工業連合会 不織布マスクの性能と使用時の注意
https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/cic/attach/briefing_h25-mat04.pdf
●第1回重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する講演会の概要
https://www.anzen.mofa.go.jp/sars/k_1.html
●厚生労働省 咳エチケット
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html

リスクを1つずつ減らしていくことが大切          
感染症の予防には、「これをやればカンペキ」というものは残念ながらありません。
だからこそ、感染や拡散につながりそうと思われるリスクを、一つひとつ減らしていくことが何より大切です。
特に理容室・美容室はお客様と近距離で接する場所ですので、ウイルス感染が懸念されている今のような状況では、カウンセリングシートを使って会話を最小限にしたり、セット椅子の距離を離したり、あるいは予約数を絞ったりと、リスク軽減のための工夫に取り組むことが求めらます。