なりたい雰囲気を引き出すコツ / “王道ショート”村田勝利さん[nex the salon coall]

ヘアスタイルから感じる雰囲気は、お客様の満足度を左右する大切なポイント。“なりたい雰囲気”を叶えるのが上手な美容師さんに、イメージを引き出すコツやポイントを教えてらいます! 今回は、あえて雰囲気を打ち出さずに“王道ショート”で勝負するnex the salon coallの村田勝利さんに聞いてみました。

狙うはデザイン性+再現性
“王道”ショート


村田さんのInstagram(@shorimtg)より

―ショートを推してるけど、どんな雰囲気を狙ってるの?

実は、「こう見せよう」という雰囲気は特にないんです。言うなれば、僕が目指しているのは王道。

お客様目線をブラさず、デザイン性と再現性の両方を追及する、というのが僕がずっと掲げているテーマです。

―村田さん的な王道ショートってどんなもの?

えり足の締まり、後頭部のボリューム、トップのふんわり感というのが軸を軸に、さらに、ワンカールもしくはストレート。

アイロンは使わずに、スタイリング剤のみを基本にしています。ご自宅でも再現できるという部分ですね。

ーそもそも、なんでショートを推すようになったの?

デビューして1年半くらい、本当にお客様も売上もなくて、どん底だったんです。お洒落な雰囲気を狙ってたんですけど、まったく当たらず…。

いよいよヤバいっていうときに、学生時代からの友人に「お前、今まで付き合ってた子全員ショートなんだし、ショートやってみれば?」って言われて(笑)。

そこから、お客様目線やバランスを意識したショートデザインを打ち出すようになりました。

自分自身だけのショート
を求めてやって来る

―今、お客様はどんな人が多い?

全国各地、アジアから幅広く来てくれるんですけど、一番多いのは30代から50代の女性で全体の7割を占めています。

みなさん、僕のインスタグラムを見て来てくれる方なので、ファッション的にもコンサバかアーバンなテイストがほとんど。

最近は、髪にコンプレックスを持っている方がかなり増えました。髪質や骨格に不満を抱えていたり、1回ショートにチャレンジしたけどアレ?って。なので、実はバッサリカットする方って少なくて、ショートにしたことで何かしら悩んでいる方が多いですね。


村田さんのInstagram(@shorimtg)より

―どんなスタイルをオーダーされる?

お任せですね。僕の場合、インスタの写真はほぼ加工せずにリアルな状態をあげていることもあって、「この画像みたいに」と指定されることってほぼないです。

投稿自体に特定の雰囲気は持たせないようにしてるので、お客様も自分自身に合うショートにして欲しい、という期待の方が大きいんじゃないかと思いますね。

あとは僕のスタンスが「お悩み、分かってますよ」と言い当てたいタイプなので、最終的にみなさんお任せになります(笑)。

立ち姿や体型から
似合うショートをデザイン

―お客様のどんなところから提案するスタイルを決めるの?

来店時の立ち姿、見ますね。そこから提案するスタイルが変わるんですよ。

姿勢がシャキッとしている方なら、短めのくびれショートがより映えるんですけど、猫背の方だとエリ足が跳ねて見えちゃうので丸くしたりとか、そういう視点です。

体型にも合わせていますね。例えば、顔が大きい・首が太いで悩んでいる方に短めのくびれショートをつくってしまうと、それこそ「部活」みたになってしまうので、レングスやウエイト位置で似合うバランスをつくってます。


村田さんのInstagram(@shorimtg)より

―どういう悩みを抱えている人が多いと感じる?

頭頂部がペタンとする、えり足が浮く、切ったらクセでハネちゃう、がお悩みトップ3です。

あとは、トップがレイヤーで切り込まれてて、ボーイッシュになってしまっている場合もよくあります。

ショートとはいえ、一般の女性が求めているのはメンズライクじゃなくて、上品さとか綺麗さが感じられるバランスだと思うんですよ。

―そういうバランス感覚はどうやって磨いたの?

SNSで良いバランスだと感じるものと、そうじゃないもの、両方見るようにしています。比べてみて、どこが違っててどこを変えれば良くなるのか、自分でシミュレーションするんです。そういう意味では、僕にとってはみんな先生だと思ってて。

王道で勝負してるぶん、普通のことだけやっていてもすぐ飽きられちゃうんです。だからこそ、一般の方に広く受け入れられるバランス感覚を、徹底して磨いています。

ストライクゾーン×髪質骨格アプローチ


村田さんのInstagram(@shorimtg)より

―お客様が喜ぶポイントってどんなところ?

再現性は共通してると思います。家でやっても同じになったとか、髪がハネなくなったとか、そういう「質」の部分ですね。

ただ、デザインは人によって差がありますね。いくら似合ってて再現性が高くても、ストライクゾーンからズレてたらアウト。なので、「ストライクゾーン×髪質骨格に対するアプローチ」の掛け合わせが成立してはじめてお客様目線になると思ってます。


村田さんのInstagram(@shorimtg)より

―ストライクゾーンを引き出すコツってある?

だいたいは、来店時の髪型を見て何に悩んでいるのか言い当てるようにしています。そうすると、こだわっているワードがいくつか返ってくるので。

逆に、一言めから「お任せします」という方は、少し掘り下げる必要がありますね。実は、お任せな方ほど、叶えたいことがハッキリある場合が多いんですよ。

そのときは、スタンスを変えて「どうなりたくないか」を聞いてます。こういう聞き方は話すのが苦手な方にとっても効果ありますよ。過去の失敗談をしてくれたりするので、ストライクゾーンが見えてきますね。

グラデーション構成×質感でつくる王道

ーショートヘアのカットで何を大事にしてる?

ウエットカットだと、グラデーションの構成ですね。よく、トップを立ち上げるためにレイヤーを入れるってあるじゃないですか。あと、根元から梳いてたりとか。でもこれって、結局縦長になってゼッペキに見えちゃうんですよ。

僕の場合は、シルエットづくりでトップの立ち上がりや後頭部の丸みが「あるように見せている」んです。


村田さんのInstagram(@shorimtg)より

再現性というところで言うと、ドライカットが大事になってきます。髪質に対してどの切り方が効果的か? ということと、どの切り方で最後の“見た目”をつくるかを想定して、毛量調整や毛流調整、質感調整の切り方と順番を変えるんです。

ウエットでは形を重視して重めにつくってあげて、ドライでお客様の髪質に合わせる、というのがデザインと再現性を両立させるコツですね。

決してブラさないお客様目線

―最後に、村田さんのこだわりを教えて!

お客様目線でのデザイン性と再現性を、両方追及していることですね。それを、インスタの投稿に反映できていることも強みだと思います。

いつもお客様に「どんな人が見ても、日本一ショートカットが上手い美容師になります」と宣言しているんですけど、みなさんすごく応援してくれるんです。
サロンワーク中に黙々と切っていても、本当にカットが好きなんですね、とおっしゃってくれる方もいて。

デビューした頃のどん底から、もう一回頑張ろうと思ってインスタに力入れたら変われたんです。
だからこそ、応援してくれる人がいる幸せを感じますし、お客様目線だけはブラしちゃいけないと思っています。

PROFILE

村田勝利(むらた・しょうり)
1994年5月28日生まれ。大阪府大阪市出身。高津美容専門学校出身。都内1店舗を経て2020年1月より「nex the salon coall」にディレクターとして参加。美容は生まれて初めて打ち込めた唯一無二のコト。二児の父という顔も。