ブローやアイロンでセットしなくても、まとまるカットにこだわっているCocoon(東京・表参道)。髪質や骨格に難があっても、毎朝のお手入れがラクになるらしい。噂では今までのカットとはちょっと切り方が違っているとか……?
疑問を解決すべく、Cocoon代表のVANさんを直撃。カットの成り立ちや、実際どんな風に切っているのかをディープにお話ししてもらいました。
ブローなしでもキマる、
毎朝ストレスなくまとまるカット
TOMO Cocoonの「ノンブローカット」、お客様の反応もすごくいいみたいですね。
VAN おかげさまで。「私の髪ってロングじゃないとおさまらないと思ってガマンしてたけど、ここで切ってもらったらショートも大丈夫だった。びっくりしました」みたいなことを言ってくださる方が多いんですよ。
TOMO カットを見せてもらったんですけど、パネルでグラやレイヤーを切っていく方法とは少し違いますね。レザーを使っているというのもあると思うんですけど。
VAN あ、よく誤解されるんですけど、レザーカットだからノンブローというわけではないんです。レザーかシザーかはあんまり関係ないんですよ。初めてうちに来てくれたお客様は、むしろシザーで切ることの方が多いですから。セニングがたくさん入って薄くなってる髪は、シザーで切って厚みを復活させたいので。
TOMO シザー、レザーというツールの話ではないんですね。では、ノンブローカットの決め手になってるのはなんでしょう?
VAN 僕は頭のとらえ方だと思ってるんですけど……その前に、どうしてカットが変わってきたのか話してもいいですか?
TOMO お願いします!
ストパーのお客様は
残らなかった
VAN 以前は僕もパネルでグラデーションやレイヤーを切って、その後セニングで調整して……というカットをしていました。だけど、やっぱりそれだけじゃおさまらない髪のお客様もいるわけですね。クセ毛とか、ふくらみやすい髪とか。なのでそういう場合はパーマを勧めたり、ストレートパーマを勧めたりしていたんです。
TOMO まあ、普通にある選択ですよね。
VAN だけどなんか違和感があったんです。僕いま40代で、20年以上通ってくれてるお客様もいるんですけど、その方たちってみんな、本来の髪質を無理に変えないでやってきた人たちなんですよね。対照的に、パーマやストパーをお勧めしたお客様とはあまり長いお付き合いができなかったんです。それは僕の技量がダメだったせいもあるかもしれないけど、やっぱりお客様も「私の髪って、ずっとパーマかけなきゃいけないのかな」と思ってしまったんじゃないでしょうか。
TOMO さっきの「違和感」っていうのは、そこにつながっているんですね。
VAN そうですね。カットだけでも髪がおさまれば、それにこしたことはないわけですよ。美容室にはいろんなメニューがあるし、カット以外にもやってもらった方が料金もいただけるんだけど、でも長い目で見たらカットで心をつかんだ方が10年20年通ってもらえるんじゃないかなと思ったんですよね。自分の場合はその方がいいなと。
お客様にとっての
カットの価値ってなんだろう
TOMO それでお客様に満足してもらえるカットを考えるようになったんですね。
VAN はい、10年くらい前になるのかな。カットに何が求められているのかなって色々考えました。そうすると、それまではこれが常識でしょと思ってやってきたことで、実はお客様の負担だったんじゃないのって気付いたことが結構あって。
TOMO よく言われますが、美容師さんの常識は一般の人にとっての常識ではないと。
VAN そうなんですよ。美容師の当たり前って技術的な常識なんだけど、お客様の当たり前は一般的な人々の常識だから。ものさしが違うんですよね。それの一番がブロー。お客様の8割は、自宅でブローしないんですよ。ドライヤーは乾かすだけ。
TOMO すみません私もそうです……(汗)
VAN だけど美容室ではブラシとドライヤー使ってブローしますよね。だから素敵に仕上がるんだけど、おそらくそれは自宅では実現できていない。特に忙しい朝なんか、乾かしてぱぱっとバームやオイルつけるだけで仕上げたい、って思ってる人がほとんどだと思うんです。それならそれが叶うカットにするにはどうしたらいいんだ? と考えるようになりました。
ノンブローカットってお客様の常識に寄り添うカットと言えるかも…
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