30代美容師のリアル~サロンに所属する人・独立する人~最終回

4回にわたってお届けしている30代美容師のリアル座談会。独立した人、サロンに所属する人、それぞれの視点で語り合います。自分たちのこれからの展望や生き方、若い世代へ伝えたいこと、いろんな想いが溢れた最終回です。

1回目はこちら
2回目はこちら
3回目はこちら

フリーランスの強みをいかして
自分にしかできない生き方を模索したい

TOMOTOMO(以下 T):ミヤケさんは伝えることに思い入れがありますよね。サロンに戻ろう、という気持ちはなかったんですか?

ミヤケ(以下 ミ):考えたこともありますけど、もし自分が店の後輩だったとしたら、辞めた先輩がまた戻ってきたらイヤだなと思ったんです。僕は店長というポジションだったから、僕が辞めたことで新たに店長になる後輩がいるわけじゃないですか。僕が戻ることでみんなのテンションが下がるのもイヤだし、自分が後輩だったら歓迎できないなと思って。

根本(以下 根):自分でつくるというのはないんですか? 自分で教えられる環境を。

ミ:まぁ、それはこれからの話かな。自分は、1つ聞かれたら10返してしまうようなタイプだから、もう少しほどよい距離感で教育ができるようになれたらなとは思うんだよね。でも、今の個人事業主という立場で、もっと何かできるんじゃないかとも考えてて。個人事業主って、休みの日は作品撮りしたり講習行ったり、自分で動かないとすごく暇なんですよ(笑)。そういう時間や、サロンに所属していたら後輩の教育に使うべきだった時間を活かして、自分にしかできない自分らしい生き方にチャレンジしたいなと。

人をつなげる
価値のある仕事に発展

T:ミヤケさんから将来の展望のお話が出ましたが、みなさんは?

根:僕は会社に属しながらも撮影やヘアメイクなど、幅広く自由にやらせてもらっているのですが、今後というと、もっと人材の多様性を汲める会社に成長させていきたいと思っています。時代的も自由度とか多様性が求められてるし、メンズオンリーとか、ママさんだけのサロンとか、特徴のある美容室だったら面白いんじゃないかと。ある意味綺麗事というか、理想論を追い求められる環境にいるからこそ、トライアンドエラーを繰り返して実現させていくことは止めちゃいけないなと思って。

ミ:やっぱり美容師は人と人の仕事だからね。自分も、サッカーを含めた趣味だったりとか、知り合いの居酒屋さんと絡んだりとか、美容以外のジャンルともつながりたいと思っているんだよね。フリーランスって、自分自身が看板みたいなものだし、人がついていないと何も生み出せないところがある。

根:そうですよね。うちのサロンでも、音楽のアーティストとコラボしたりとか、展示会スペースとして使ってもらったりとか、イベントをやろうとことを話してます。美容室って人と人をつなげるツールとしてまだまだ活用できるんじゃないかと思いますよね。

岩屋(以下 岩):美容師の価値を高めていきたいよね。伝統工芸と同じように。イギリスだと、「My hairdresser, My doctor, My lawyer」という言葉があるくらい、地位が高いわけで。僕も海外で仕事をさせてもらうこともあるんですけど、日本の美容師って絶対海外で通用すると思うんですよ。だから、自分自身も海外からオファーをもらえるようなりたいと思うし、TONI&GUY JAPANのカラーリストとして国境を越えてやっていきたいし、もっと日本の美容師の価値を伝えたいなと思ってます。最初(1回目)ネモ(根本さんの愛称)が言ってたけど、キャリアの説明書を作るというか、ここまでやってきたからには、とことん追求したい。よく環境とか人のせいにしがちだけど、この仕事は自分次第だし、こういう人間になりたいというビジョンが必要だと思うので。そうしたら、カラーリストに憧れる人ももっと増えるんじゃないかと思うし。

生き残っていくために
何をすべきかを模索

佐々木(以下 佐):岩ちゃん(岩屋さんの愛称)が言うように僕も、日本の技術レベルって高いんだよというところで、海外に目を向けるのはありかなと思うんですよね。今、美容室って25万軒弱ですよね? コンビニの4倍で飽和状態、かつ人口も減っている、さらには脂が乗ってる世代の美容師は技術も経験もあって、お客様も抱えている。その中で、若い世代の美容師はどうやって売上を立てていくのかって気になるところなんですよ。同世代をうまくキャッチするというのもあるけど、人口、つまり分母が増えないことには先詰まりになりかねないなと。個人的な疑問なんだけど、今後美容室はどうやって勝ち残っていくのかな?

根:連動性が必要になってるんじゃないですか? 青山原宿エリアでやるべきことと、郊外エリアでやるべきこととが今まで分かれてたけど、どっちも必要になっているのかも。僕は東京の東側が地元なんですけど、そのエリアの美容室も青原に出店していたりするじゃないですか。そして青原エリアの美容室がやってないことをやってる。そうすることで、経験値もそうなんですけど、地元エリアと情報を連動させて、顧客満足やスタッフの満足度もあげてるんじゃないかと思う。

佐:なるほどね。僕が千葉で働いていたときを思い返すと、何となくくすぶっている感覚ってあるんですよね。青山表参道と比べて、負けているわけじゃないんだけど、何となく劣等感があったりするんですよ。その中でも、撮影とかに積極的な人もいれば、そうでもないという人もいるわけですが、押し並べてなかなかその劣等感が埋まらなかったりする。僕が当面考えているのは、くすぶっている人を盛り上げられるようなシステムをつくれないかなということですね。価格を下げることに頼ったり、プロダクトをつくったりしないと利益が出ないようなものではなくて、技術力だったりとか美容師としての新しい自分を見つけられるようなシステムをつくりたいなと思ってますね。

岩:やっぱり価格は下げちゃいけないよね。むしろ上げるほうを考えないといけないはずなんだけどなぁと思う。でも一方で低価格サロンにも成功例はあるじゃないですか。二極化が進むと言われている中で、自分たちはどっちに行くのかを見定めないといけないタイミングってそう遠くないはずだよね。

根:今すごく巻きですよね、サイクルが早まってる気がする。

岩:うん、早い。美容室の廃業率のデータとかを見ても、3年続けられる店って10%程度しかないですもんね。規模が大きいから大丈夫とかそういうことはなくて、どう生き残っていくかはちゃんと考えないといけない。

佐:実のところ、僕がサロンを出すときに、「出資してあげるよ」という人も沢山いたんですよ。最終的に、僕は自分だけでお店を出してオーナー代表になったからそうでもないですけど、仮に出資してもらっていたとしたらあまり利益を約束できないかなというのが実際のところ。そういう点も含めて、この美容業の中でどうすればもっと・・・と考えると、やっぱり価格を下げるのは得策じゃないと思うんですよね。

美容師としての責任を全うする
自分づくりを


ミ:技術料金だけで成り立つようになるといいんだけどね。あとやっぱり大事なのはさ、さっき(3回目)慶次も言ってたけど、人間力もあるじゃん。フリーランスやってて思うけど、自分の見せ方とか売り方を身に付けていないとお客様は付いて来てくれないんだよね。今はフリーランスになろうとする人も多いけど、1人でやるって、そう簡単なものじゃないなと思うんだよね。高校時代、校長先生がよく言ってたけど、自由には責任が伴うって、本当にその通りっていうか。

岩:その意味でも、美容師やるなら健康第一だよなと思う。冗談でもなんでもなく、30代になると責任も増えてくるし、自分じゃなきゃできない仕事も出てくるじゃないですか。それをこなせる体をつくっていないと、やれることもやれなくなってしまうし、そもそも生き残っていけない。自分の後輩も含めなんですけど、特に若い人には、運動、食、睡眠で、まずは体をしっかりすることって大切だと伝えたいなと思いますね。

T:みなさん、どうもありがとうございました!!


1回目はこちら
2回目はこちら
3回目はこちら