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サロンのスタッフ育成 SPLASH(東京・渋谷)の場合<後編>

人材育成レポート、代々木八幡のサロン・SPLASHの後編をお届けします。スタッフが全員辞めてしまったという苦い経験を持つオーナー・小林誠さんは、一人ひとりと向き合い、良いところを引き出す個別育成に取り組みますが……。

 

内気過ぎて話が

できなかった関根さんの場合

2013年、就職先が決まらないまま卒業式を迎えた関根さんは、その3日後にSPLASHで面接を受けました。声が小さく、自分の意見を言わない彼女に、小林さんは「こんなに内気で美容師としてやっていけるかな」と不安を感じつつ、スタッフが欲しかったこともあって採用します。

関根さんは働き始めてからも周囲とのコミュニケーションがうまくとれず、スタッフにもお客様にも心配されながら1年が過ぎました。2年目に入っても接客は苦手なまま。ブローやカラー塗布などの試験には順調に合格していましたが、そのままではスタイリストになれないのは明白でした。

 

面談を繰り返し

美容師としての活路を探る

引っ込み思案な性格だけれども、関根さんは美容師として捨てがたい資質を持っていると小林さんは考えていました。自分の話はしないけれど人の話は真摯に聞く。仕事に対しては粘り強くて、さぼらない。周囲の人々への誠実な対応。こうした良い面を仕事でどうにか伸ばしてあげたいと、何度か面談を続けました。しかし何が好きなのか、どんな仕事をしていきたいのか質問しても、しばらくの間は彼女から意見を引き出すことはできませんでした。

 

得意な着付けで

活躍させる

2015年、何度目かの面談で、関根さんは着付けが好きだという唯一の意思表明をします。小林さんはそこから活路を開くことにしました。

関根さんに着付けを担当させると同時に、ホームページを作り替え。元から着付けのメニューは紹介していましたが、ページを独立させ、彼女が手がけた創作帯結びや、和装のミニ知識、着崩れの直し方なども掲載してアピールしました。

 

アシスタントながら

131人の着付けを担当

内気だった関根さんも、好きな着付けを担当すると自分から話ができるようになっていき、接客の経験を積んでいきました。じょじょにお客様からの指名も受けるようになり、2015年度は87名、2016年には131名の着付けを担当。同12月にはスタイリストとしてもデビューし、サロンで開催する着付けレッスンの講師を務めるまでになったのです。

 

理想のスタッフは来ない。

手間がかかっても個別育成を続ける

多くのサロンが採用難にある状況ですが、SPLASHでは一人一人に合った育成をすることで人材を確保しています。「理想のスタッフがそうそう入社してくるわけではない。それを期待するより、今いる一人の中の才能を見つけてそれを伸ばした方がいい」というのがオーナー小林さんの考えです。

個別育成をしたからといって、すべてのスタッフが戦力になってくれるわけではありませんし、教える側は教育のマニュアルに頼れなくなる分、手間も時間もかかるという問題もあります。それでも、特に少人数サロンでは、有効な個別育成ができるかどうかが店の将来に影響するのは間違いないように思われます。

 

 

 

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