30代美容師のリアル~サロンに所属する人・独立する人~3/4

4回にわたってお届けしている30代美容師のリアル座談会。独立した人、サロンに所属する人、それぞれの視点で語り合います。今回は、それぞれのポジションから見える、後輩への教育やアウトプット、さらには美容業界の課題へと話題が広がります。

座談会2回目
座談会1回目

トップダウンで育ったおれらと
若い世代の違いはジャッジの早さ?

TOMOTOMO(以下 T):根本さん岩屋さんから「恩」※というワードが出てきましたが、みなさんからみて後輩の世代は、そうした感覚でサロンを見てたりするんでしょうか?
※30代美容師のリアル~サロンに所属する人・独立する人~2/4

岩屋(以下 岩):悪い意味じゃなく、恩って考えてないんじゃないですか?

ミヤケ(以下 ミ):もっと気楽かもしれないよね。もっと自分のことを考えて、やりたいことと、やりたくないことをハッキリさせているというか。「今日メシでも行こうよ」って誘っても「あ、スイマセン」みたいな(笑)。自分は先輩に付いて行って、気に入られたほうがいいと思ってた世代だから結構違うのかも。

根本(以下 根):僕らとは全然違うかも知れないですね。物事へのジャッジとか、答えを出すスピードがすごく早い。でもそこは、僕らオヤジたちが学んで、変化していかないといけないところなんだろうなと思います。

世代での”win<win”のギャップ

T:みなさんの世代は、中間管理職的な役回りを担ってきた人が多い印象があります。

ミ:トップダウンが強かった時代に育ってますからね。自分自身、後輩の愚痴にも「●●さんはこういう意図で言ってるんじゃないか」って諭すタイプだったなと思う。ラーメン屋で言ったら、今まで代々注ぎ足してきた秘伝のタレを、おれの代で薄めるわけにはいかない!と思って仕事してた。でも今は、情報量も多いから若い世代も色んなアイデア持ってるじゃないですか。もとの味はあるけど、季節限定の新しい味とか、柔軟にやってるところが成功している気がする。

岩:今求められるのってウィンウィンですよね。僕らって、メシの誘いでもなんでも、そこに何があるかは分からないけど付いて行ってチャンスを掴むという、見方によっては遠回りだった。今の教育者は、撮影のヘルプとかでも、付いて来てもらう代わりに経験を与えてあげたり、新しいつながりを作ってあげたり、そういう明確なウィンを提示できることが必要なのかなと思う。

根:今の美容室って、そのウィンをすごく恐れているところありませんか? 例えば休日に撮影したりすると、僕らからしたら学びを提供していると思っているんだけど・・・。

佐々木(以下 佐):相手からしたら、それはウィンじゃないんですけど、みたいなね。相手が考えるウィンとこっちが考えるウィンが釣り合ってないわけだ。

根:そう、相手が求めるウィンとこっちが提供するウィンが違うんですよ。そういう意味でも、今美容室って企業化が求められてますよね。うちのサロンだと、人数とか規定はありますけど、モデルハントしたら手当てがあります。僕らの世代だと、モデハン=手当てって結びつかないけど、若い人達と働くためには、自分たちも柔軟でいないといけないなと。

岩:ご飯連れて行っても仕事に反映されるわけじゃないからね。店長のときに、それはすごく感じた。日常のレベルだと、スタッフルームでのやりとりとか、営業中の言葉選びとか、それが一番大事なのかなと思う。モチベーションってその人の中にしかないから、ご飯食べさせても上がるわけじゃないんだよね。

”そういうもの”から”労務管理”
が求められる時代に

佐:僕ら世代だと、自分たち職人は一般企業とは違う、みたいな目線持ってるじゃないですか。でも、美容室を経営していると、労基法的には・・・という話になってくるんですよね。さっきのネモちゃん(根本さんの愛称)の話にもあったけど、休日出勤とか残業とか、リーフ配りもモデハンも就労時間としてカウントされる。僕らの時代までは「そういうもの」で納得してたけど、若い世代はそうじゃないんだよね。それはそれで寂しい感じもするわけだけど。

岩:職人=稼げるじゃないからね、今の時代。生産性をどう上げるかとか、そのためにポータルサイトをどう使うかとかも考えながらやらないといけない現状もあるし。

根:難しいですよね、やりたいことでお金を稼げるかどうかって。

T:佐々木さんのサロンにも若い世代のスタッフさんがいるんですよね?

佐:40代が1名、30代の僕、20代前半が2名の4人です。なので、考え方が全然違います。オープンするときはどんどん仕掛けていけるようにしたかったんですけど、スタッフの意思を揃えるのに1年はかかるだろうなと思いながらスタートしましたね。労務管理的なことで言うと、「なるほど、そこも!?」という部分ばかりですね。例えばアシスタントの自主練でもすべて就労時間だったり。

ミ:いわゆる修行の時間も営業時間と同じなんだ?

佐:そう、店側から「やれ」と言っているかどうかというのは関係ないんですよ。僕はずっと美容師として当たり前にやってきたから、知らないことばかりです。まだまだ手探りで勉強中ですけど、結局人じゃないですか、僕らの仕事って。だからその辺はすごく意識しています。

フリーだからこその
伝えられないもどかしさ

T:ミヤケさんはフリーランスで活動しているわけですが、働き先のサロンで技術を教えたりすることってありますか?

ミ:頼まれれば教えますね。例えば「さっきのカラーどうやったんですか?」と興味を持ってくれる人に対しては伝えたい気持ちは強いです。この3人と僕で確実に違うのは、人に教える時間を全部自分の時間にしていることかなと思うんですね。そこが、後悔はしていないけど、ずっと自分の中で気にしている部分でもあって。自分は今まで先輩が費やしてくれた時間があるからこそ今があるのに、それを他の人に還元していないし、それをする機会が少なくて悔しいところはありますね。

T:望んだマンツーマンで働くことはできているけど、伝えられないもどかしさもあると。

ミ:インプットだけじゃなくアウトプットもしないと、自分がパンパンになってしまうんですよね。技術的なことはお客様にアウトプットできるけど、こういうコミュニティで聞ける美容師としての心構えだったり、仕事を楽しむ秘訣みたいな話は、誰かに伝えたい! と思うことはよくありますね。だからなのかも知れないですが、悩みがある人の明日をサポートするという謎の使命感があって。例えば、こういうコミュニティで出会った他の美容師に、こんな話があるよとアドバイスして視野を広げてあげたいなと。

後輩がいないとできないこと
に目を向けて

T:岩屋さん根本さんは、むしろ教えなきゃいけない立場だと思いますが、煩わしさを感じたりすることはないですか?

岩:イラつくポイントは探せばいくらでもありますけど(笑)、綺麗事じゃなく、本当に後輩たちの幸せを願っているんで煩わしさはないですね。自分に子供ができてから、後輩に対しても子供と接するような感覚に切り替えたんですね。それからは、教育に対するストレスが全くなくなりました。子供ってできなくて当たり前だし、自分の意にそぐわなくても当然なので。それまでは、「やる気ないなら、やめちまえ!」と思ったこともありますが(笑)。

根:後輩たちがいないと発揮できないパフォーマンスって必ずありますよね。彼らがいるからこそできることがあるから、煩わしさよりも、そちら側に一番目がいきますね。

T:佐々木さんは経営目線で、どういう感覚で見てますか?

佐:よくありがちな、雇ってやってるとか、給料払ってやってるみたいな考えは持っていないですね。でも、岩ちゃん(岩屋さんの愛称)が言うような子供というよりも、商品を世に出していく感じに近いかもしれないですね。もともと僕は、自分がナンバーワンになりたいわけじゃなくて、ナンバーワンを育てたい派。だから、サロンのスタッフが売れるかどうかは僕の能力次第でもある、と考えてます。

根:スタッフがミスしたときはどうするんですか? 例えばカラー剤すごく余らせたとか、そういうことも含めて。オイ、オマエ! みたいなのないんですか?

佐:んー、そのこと自体は叱らないかな。同じミスをしないようにどうするかを考える。正直な話でいうと、売れる人間をつくるためにどうするか? を考えているんですよ。「つくる」という表現が冷めて聞こえるかも知れないけど、技術は当たり前に求められるものだから、むしろ心の面ですね。若い世代は、僕らより感性は優れていると思うんですよ。情報がごちゃごちゃしている中で、心の面が不安定な感じがするから、安定した精神というか、言葉遣いだったり接客だったり、場に応じたことができるような人間性をつくるほうが必要だと思ってて。

ミ:悩んだりするのも含めて、スタッフのことを考えられるのって羨ましいなと思う。自分は店を辞めるとき、お客様との関係性のことしか考えてなくて、出て初めてアウトプットどうすんだ? と思った。基本的にお節介ジジイなんで(笑)。

to be continued…4/4につづく!

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