いわゆる“コスメ系”のパーマ液が広く普及して以降、若手スタイリストさんの中には「システアミン系のパーマ液しか使ったことがない」という方もいるのでは? もちろん、1種類をしっかり使いこなせるようになることも必要。だけど、還元剤の種類によってウエーブの出方や仕上がりの質感が変わるから、それぞれの特徴を掴んでおくとパーマというアイテムをもっと活用できるようになりますよ!
そんな中、「色んなパーマ液を知るとデザインが広がるよ!」と、大量のウイッグを担いで編集部にやってきたのが、チオとシスの可能性を探求する男・anemo山口高宏さんです。おもむろに始まった毛束実験。その結果を、2回にわたってお届けします。
※ここで紹介しているのは、あくまで今回の記事のために行われた施術の結果であり、すべての製品や施術に同様の結果を保証するものではありません。
3種類の毛束で実験!
検証する毛束はダメージ具合が異なる3種類。
- 4Lvの黒毛(健康毛想定)
- 8Lvのカラー毛(ミドルダメージ毛想定・ライトナーでリフトアップ)
- 12Lvのカラー毛(ハイダメージ毛想定・ライトナーでリフトアップ)
これらの毛束に、4種類のパーマ液でパーマをかけて、ウエーブの出方を観察します。
- パーマ液1 / チオグリコール酸タイプ(医薬部外品、pH8.9、アルカリ度6.5ml、還元剤濃度6.4%)
- パーマ液2 / システインタイプ(医薬部外品、pH8.9、アルカリ度5.0ml、還元剤濃度6.0%)
- パーマ液3 / システアミン(ハード)タイプ(化粧品、pH8.8、アルカリ度6.5ml、還元剤濃度チオ換算7.0%)
- パーマ液4 / システアミン(ソフト)タイプ(化粧品、pH8.5、アルカリ度1.5ml、還元剤濃度チオ換算2.0%)
なお、今回の1液放置タイムはすべて10分。
中間水洗後、ブロム酸で酸化します。
ワインドは毛先から
平巻き2.5回転
ワインディングは全て共通でこのように行いました。
- 使用ロッド / 15ミリ
- スライス / 横スライス、ロッド幅(約1.5センチ)
- 巻き方 / 毛先からの平巻き 2.5回転
なお、テンションをしっかりかけて、パネルがたわまないように巻きます。
チオグリコール酸タイプ
の仕上がり
ウエット
ドライ
ウエーブの形としては、毛先にしっかり、巻収めの中間にゆるく、という出方。
健康毛想定の4Lv毛で、もっとも安定したかかり上がりになっています。
薬のパワーが強いこともあってか、ハイダメージ毛想定の12Lvでは、ウエーブの形がまちまちになりました。
手触りは、やや硬めで、ハリコシを感じました。
システインタイプ
の仕上がり
ウエット
ドライ
チオグリコール酸タイプと同じく、中間からゆるく始まり、毛先がしっかり入る出方をしました。
ただ、ウエーブを出すパワーはちょっと弱めです。
8Lv毛と12Lv毛では、ウエット時とドライ時でのウエーブギャップが大きくなっています。
手触りは、なめらかでやわらかい印象で、かつ弾力も感じられました。
システアミン
ハードタイプ
の仕上がり
ウエット
ドライ
ウエーブの出方は立体的で、巻収めの中間から毛先にかけて、ほとんど均一。
中間が強い分、毛先を若干逃がしたような形になりました。
ハードタイプとあって、健康毛想定の4Lv毛で、もっとも安定したかかり上がりに。
ハイダメージ毛想定の12Lvでは、ウエーブの大きさがまちまちになっています。
手触りとしては、軽い風合いで、ややドライな質感になりました。
システアミン
ソフトタイプ
の仕上がり
ウエット
ドライ
巻き収めの位置からはっきりとしたウエーブが出ています。
ハードタイプにも言える事ですが、ウエット時とドライ時のギャップは少なく見えます。
手触りは軽く、やわらかい質感になりました。
こんな風に、パーマ液の違いによって、ウエーブの出方や質感は結構変わるもの。
今回の実験では行っていませんが、さらに数回のシャンプー、ドライなどを経て経過を観察していくと、持ちやダメージについても見えてくることがありそうですね。
さて次回は、1液の放置タイムの違いでどんな風にかかり上がりが変わるのか、その実験結果をお伝えします!
お楽しみに!