サロンのスタッフ育成 Taebis(千葉県)の場合

人材難・採用難が大きな問題になる中、美容室では若手スタッフをどう育成するかが課題になっています。
ここ数年の間に、スタイリストデビューまでの教育カリキュラムを変更するサロンが増えました。TOMOTOMO LABO.ではそのレポートを継続してお届けしていきたいと思います。

第1回は千葉県のサロンTaebisの取り組みです。

キャリアがあれば

出産後の復帰もスムーズ

Taebisは千葉県船橋市、習志野市を中心に5店舗を展開するサロンです。

3年前に、今回お話をうかがった取締役常務・北村恒さんを中心に教育カリキュラムの改革を行い、それまで平均3年かかっていたデビューまでの期間を1年半に短縮しました。20才で就職したら、22才にはスタイリストになる育成プログラムを組んだということになります。

このプログラム作成には、スタッフの8割が女性で、結婚・出産による退職がTaebisの大きな課題になっていたという背景がありました。「私はずっと美容師を続ける」と出産後に職場に復帰しても、いろいろな事情で結果的に退職してしまうケースも多かったそうです。復帰の決め手になるのは、産休前の美容師としてのキャリアでした。

(Taebis北村恒さん)

「スタイリストとしてのキャリアがそれほどなく、顧客も少ない段階でママになってしまうと、どうしても退職するケースが増えてしまいます。でも、ある程度お客様をつけた後なら、『あの方が待っていてくれる』という本人のモチベーションもありますし、旦那さんをはじめとした家族の理解も得られやすい。産休した後でも、復帰がスムーズになるんです。結婚して、子育てもして、仕事も続けられる美容師を育てるためには、早期育成が必要だと判断したのです」(北村さん)。

3年のカリキュラムを

1年半に短縮

改革後のTaebisのカリキュラムを見てみましょう。

4月に入社したスタッフは6月までの3カ月間に、合計19日の集中トレーニングがあり、一室に集まって朝9時から6時まで技術レッスンと座学の授業を受けます。この間に学ぶ技術は以下のようになっています。

4月/シャンプー、眉カット・メイク直し、トリートメント、ヘッドスパ
5月/カラーリタッチ、グレイカラー塗布、デンマンブラシブロー、ファッションカラー塗布、ホイルワーク、ブリーチ
6月/ロールブラシブロー、ストレートブロー、ストレートアイロン、カールアイロン、カラー剤知識、薬剤選定
( ※取材時の情報です。現在は変更されている可能性があります。以下同)

集中トレーニングの日以外はサロンでアシスタント業務をするわけですが、5月の末には先輩と一緒にカラー塗布も任されるようになります。改革前はこうした実践は、もう少し後にならないと経験できないことだったとか。

7月/スタイリング、モデルでカラー練習
8月/ワインディングコンテストの練習
9月/ストレートパーマ

7月からはモデルを使った練習がスタートします。さらに週に1回のレッスン日があり、先輩のデモンストレーションから課題が出ます。その課題をそれぞれ練習し、LINEで幹部に報告することになっているそうです。

入社して半年後には

カット練習スタート

10月からはウイッグでカット練習が始まります。練習するスタイルはクラシックなベーシックではなく、お客様にすぐに使えるボブやミディアム。3月までに24コースを履修することになっているそうです。

半年間ウイッグで練習した後、4月からはいよいよモデルでカット練習をスタート。9月までに50人を切ったら、ジュニアスタイリストとしてデビューが認められます。

10月~翌年3月/ウイッグでカット練習(計24コース)
他にカラーの色彩学、パーマのケミカル知識、メイク、セット&アップ
4月~9月/モデルでカット練習
他に浴衣着付けなどレッスン
10月/ジュニアスタイリストとしてデビュー

「このカリキュラムに変えてから3年経ちましたが、今のところ、4月入社した全員が無事に10月にはデビューしています。デビュー半年後に120万売り上げたスタッフもいますよ。以前はスタイリストに比べてアシスタントの数が多かったのですが、スタイリストの比率が増えたことで、サロン全体の生産性も上がりました。

1年半の期間中に学びきれなかったことも当然ありますが、それはスタイリストになっても勉強を続けることでクリアしています。サロンの練習会だけでなく、外部の講習会に参加するスタッフも多いですね」(北村さん)

就業時間内に

練習を組み込む

3年かかっていたカリキュラムを1年半に短縮するためには、練習時間を営業時間内に組み込む必要がありました。入社してすぐの終日トレーニングは平日に行い、週1回のレッスンで出された課題は、2時間まで営業時間内に練習してよいことになっています。モデル練習が始まったら、こちらも営業時間内にモデルさんを呼んでOK。

ここまで聞くとスタッフは就業時間内に練習し放題のように思われますが、「ダラダラ長い時間をかけても身に付かない、やるなら集中して短時間で!」と時間の使い方についてはかなり厳しさが求められます。週1のレッスン日も、遅くなっても21時20分には全員帰宅させるそうですし、モデル練習はあらかじめ申請した時間内に終わらなければ、それ以上続けることは許されず、先輩にモデルをゆだねることになっています。

「アシスタントだから時間がかかって当たり前という考えでいると、いつまで経っても営業感覚が磨かれません。早いうちに練習モデルを呼んで実践練習をしてもらっているのは、時間に制限があるリアルなサロンワークの感覚を身につけてほしいからなんです。

練習も仕事も集中して時間を無駄に使わず、オフの時間をしっかり確保してもらいたい。そうして結婚して家庭を持った後も、長く勤めてもらいたいと思っています」(北村さん)

Taebisスタッフ育成

2つのポイント

①早期にキャリアを積ませる

女性スタッフ定着のために結婚出産前のキャリア形成が必要と考え

教育カリキュラムを早期育成用に切り替えた

②就業時間内に練習を組み込む

早期育成のため、残業させないため、営業日の日中に

練習を認める仕組みを作った

これまで美容室の教育カリキュラムは、あくまで「アシスタントとして働く」ことと並行して組み立てられてきました。が、今後は「早く確実にスタイリストに育てる」に移行していくのかもしれません。

TOMOTOMO LABO.では引き続き、スタッフ育成に取り組むサロンのレポートをお届けしていきます。育成にはサロンの規模、立地、顧客層、スタッフの年齢幅などが影響するので、紹介する事例のすべてが有効とは限りませんが、考え方や工夫はきっと参考になるはずです。

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