ここ数年、ジワジワと注目度が高まっているパーマの還元剤があります。昔はチオと並んでメインで使われていたけれど、ハードパーマのブームやコスメタイプが進化する中で、次第に使われなくなってきていた、あの還元剤。そう、「システイン」です。当時は、“かかりが弱い”こともあって下火になっていたようなのですが、今はそういった特徴が逆にメリットとして捉えられています。では、システインでどんなウエーブをつくることができるのか? 実際見てみましょう!
ウイッグ制作 / 戸石正博(Shanty)
フルヘッドで実験!
ワンレングスベースのウイッグを、全頭巻いてパーマの出方を比べます。ロッド径は17ミリ~23ミリで、すべてダウンステムに引き出して、毛先からの平巻き。
使うパーマ液はこの3つです。
A. システイン単品(医薬部外品)
B. システアミン単品(化粧品分類)
C. システインとシステアミンのハイブリッドタイプ(化粧品分類)
サロン現場でよく使われているシステアミンと、今まさに注目を集めているシステインとで、どんな違いが出るのか??
また、ハイブリッドタイプになったことで、どんな差があるのか??
なお、今回の1液放置タイムはすべて10分。 中間水洗後、ブロム酸で酸化します。
毛先にいくほど明るい
ダメージ毛に施術!
根元から中間は10レベルで、毛先は13レベルになっているウイッグに施術した仕上がり。
左から順に、A剤、B剤、C剤でパーマをかけています。
カラーや日々のダメージで毛先ほど傷んでいる状態を想定したこのケースでは、ウエーブ全体の質感やまとまり感だけでなく、根元側と毛先側でのウエーブの出方にも変化があります。
弾力が低下した
グレイカラー毛に施術!
全体を13レベルまでリフトアップしてから、7レベルのグレイカラー剤でトーンダウンした、グレイカラー毛想定のウイッグに施術した仕上がり。
左から順に、A剤、B剤、C剤でパーマをかけています。
先程のウイッグと比べると、ダメージもあってか、全体的にリッジがしっかり出ました。各還元剤でかかり方の傾向がよりハッキリした印象があります。
なめらかなリッジと
まとまり感がシスの魅力!
今回の実験でも、ウエーブを形作るパワーは弱かったシス。
でも、そのなめらかでやわらかいリッジや、毛束のまとまり感はニュアンスなどの質感作りに役立つのではないでしょうか。さらに、ワインディングや施術設計を工夫することで、より表現の幅が広がっていきそうです。
また、システインと他の還元剤が組み合わされたハイブリッドタイプも、ウエーブ形成力と質感作りの面で、色んなアプローチを可能にしてくれるのでは?
7月15日発売の『TOMOTOMO BASIC SERIES VOL.02』では、「ダメージ毛時代のウエーブデザイン作りを検証 システインでパーマをもっと使いこなす!」と題して、システインの特徴や魅力をさらに掘り下げてお届けします!
今回のウイッグ検証にも、さらなる解説を加えてより詳しくお届けしますので、どうぞお楽しみに!
また、システインを使った技術セミナーも行いますので、ぜひご参加ください!
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