PermSeminar  

やってみないとわからないこと。

カット用のマネキンの頭に何かラベルが刺さっていますよ。ラベルには「同じ位置で10回」「同じ位置で30回」という謎の文字。これ、3月7日に行われたセミナー「パーマのためのカット×薬液 公開勉強会」で使われたものなんです。

 

 

パーマのセミナーですが、
カットの検証します!

CHELSEAの栁澤利明さんを講師にお迎えして開催されたパーマセミナー。当日のプログラムはこんな感じでした。

「検証」というのがその日行われた実験で、全部で4つ。そのうち3つがカットに関係する実験です。パーマのセミナーでカットにここまで触れることは少ないと思いますが、でも実は影響大きいんじゃないの? という仮説のもと、実際に試してみることにしました。

検証1は薬液の違いとカールの仕上がりについて調べます。ここではカットの影響がないところで、シンプルに薬液のカール力を見るのが目的。お客様の髪でも多いと思われる、明度8~9レベル、ミドルダメージ相当に処理したウイッグの毛束に、ハイブリッドタイプのカーリング料のハード・ノーマル・ソフトでかけ分けしました。この後の実験ではソフトの薬液を使っていきますので、カットの力でどれだけノーマルやハードの仕上がりに近づくかが見ものです。

 

カットの違いが仕上がりに
どう影響を及ぼすか確認してみる。

その後はカットとカールの仕上がりについての実験。検証2では3種類の段差(グラデーション、セイムレイヤー、ハイレイヤー)の毛束に、同じ薬液を使ってかけます。

カットでの段差の幅が広いほど毛先のずれが大きいわけで、これにパーマが加わることによって、毛先のずれがさらに広がるのがそれぞれ確認できました。実験したのは毛束でしたが、これがスタイル全体になったら、かなり印象が変わることが予測できます。

検証3は削ぎのカットを、毛束のどの位置に入れるかによって、仕上がりがどう変わるかの実験です。ロッドの巻き収めの位置に対して、そこより手前に削ぎを入れるか、巻き収まる位置ジャストに削ぎを入れるか、あるいは巻き収まる位置より奥に削ぎを入れるか。もちろん、削ぐ位置以外の条件はまったく同じにして検証しました。TOMOTOMO96年10月号でも紹介しましたが、基本的に多く削いだ場所ほどパーマで曲がりやすくなります。毛先ワンカールを出すために2回転巻くとしたら、1回転付近を多めに削ぐと、カールがきれいに出ます。巻き収まり付近もしくはそれ以上奥に削ぎを入れてしまうと、カールが出にくかったり、ゴム跡が残ってしまったり、毛先がチリついたりという失敗がおきやすいのだとか。

検証4、今度は削ぐ「量」です。冒頭の写真はこの実験に使ったウイッグですね。ロッドを巻き収める位置の手前に削ぎを入れるのですが、セニングシザーを10回開閉した毛束、30回開閉した毛束、50回開閉した毛束に、それぞれ同じようにパーマをかけます。セニングを同じ場所に50回入れた時には、講師の栁澤さんも「怖い! これお客様にやってしまったらどうしよう」とつぶやいていました。いやー、実験だからこそできることですね。

 

なんとなく感じていること、
試してみるとみないとでは大違い。

ここまでの検証で得られた結果を元にして、最後はモデルさんにパーマをかけました。ウイッグと違って、あらかじめ削ぎの入っている髪ですから今度は逆算が必要です。そして毛量の違いや毛流れを考慮して、ロッド径や巻きこみの深さを変えたワインディングをすると、巻き上がりは当然左右非対称に。

 

こんな感じのナチュラルウェーブに仕上がりました。

 

以上、当日のルポをお届けしました。このセミナーで行った実験は、どれもそんなに難しいものではなく、誰でもその気になれば試してみることができると思います。

きっと美容師さんだったら、カットがパーマの仕上がりに及ぼす影響なんて普段から感じているはす。今回は栁澤さんが代わりに実験してくれましたが、自分の「軸」または「基準」にするために、ぜひご自分で試してみてください。だって、使っているセニングシザーが違えば結果も微妙に違うわけですからね。

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