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デザインにつなげる“髪の見極め”とは?

2017年1月31日に行われた、TOMOTOMO技術セミナー「パーマの毛髪診断と薬剤知識」。『BLESS』の武田 敦さんを講師に迎え開催したこのセミナーですが、50名を超える来場者の方が! 熱気に包まれた当日の模様を詳しくお届けします!

 

出発点は“デザイン”

セミナーは、座学と技術展示の2部構成。第1部のパーマの基礎知識編で、まず講師・武田さんが語ったのは「デザインを出発点にする」ということ。 毛髪診断の手法や薬液のセレクトは、あくまでもパーマを形づくるための一連の技術の一部であって、最終的な目的はやっぱりデザインなんだ、という視点です。
「なぜパーマをかけるのか?」。ちょっとした印象変化や女性像のチェンジ、日々のスタイリングのやりやすさなど目的は色々ですが、いずれにしても、最終着地地点があればこそ、毛髪診断や薬液選定にも意味が出てくる、というわけです

 

 

“対話”と“指先”で
診断の精度を高める

今回のセミナーの目玉の1つは、髪質の異なる2名のモデルさんに行う、リアル毛髪診断。2人へ提案するデザインを組み立てて、どこに、どんなカールやウエーブをつくっていくかをイメージしてから、髪の状態を探っていきます。

診断のポイントとなるのは、根元から中間、そして毛先にかけての状態の変化を見極めること。

  • 根元・・・もともとの髪質を知る(細毛軟毛や太毛硬毛・・・といったことから薬液が浸透しやすいかどうか? パーマがかかりやすいかどうか? などを知る)
  • 中間~毛先・・・手触りや弾力、アンダートーンの変化をチェック

さらに、ドライ / ウエットでの変化や、アンダーセクションとオーバーセクションの状態の違いをチェック。そもそもこの髪にはパーマがかかるのか? かかるとしたら目指すデザインに対して薬はどれくらいのパワーのものがいいのか? 総合的に髪を読み解いていくことで、方向性が見えてきます。

そして、毛髪診断でもう1つ大事なポイントは、お客様への質問。診断の目的は、あくまでも“今の状態を把握”することで、“言い当てられる”ことではありません。これまでの履歴はもちろん、毎日アイロンを使っているかどうかなど、対話の中から得られるヒントと、指先から分かることから多角的に髪を診ていくことが精度を高めるコツ。

 

 

pHとアルカリ度を
髪質にあわせて選択

 

今回の2名のモデルさんは、やや細めの軟毛さん(カールスタイルを提案)と、ハリコシしっかりの硬毛さん(ウエーブスタイルを提案)。2名とも継続的なアルカリカラーや毎日のアイロンスタイリングでダメージがある状態です。特に軟毛さんは、ハイトーンカラーやホット系パーマの履歴があって、これ以上の余計な負荷はぜったいNG。

そこで講師の武田さんが選択した薬液は、

●軟毛さん
アンダーセクション・・・アルカリ度1ml未満で中性域のシステアミン、チオ、シスのハイブリッドタイプ
オーバーセクション・・・アンダーと同じ薬液で、特にダメージが進んでいる毛先にpHの低い脂質系の処理剤を事前に塗布してブロック

●硬毛さん
アンダーセクション・・・ややアルカリ度がある(2ml未満)アルカリ域の、システアミン、チオ、シスのハイブリッドタイプ
オーバーセクション・・・アルカリ度1ml未満で中性域のシステアミン、チオ、シスのハイブリッドタイプ

もともとの髪質やダメージの具合に合わせて、薬液の浸透力と還元剤の働きを考慮した選定をしました。

 

 

知識を土台にした
技術

技術展示では、パーマの工程だけでなく、ベースカットや削ぎも含めた、一連のプロセスを展開。 イメージするカールやウエーブに合わせた段差のつけ方や、毛束の厚みのコントロールなど、テクニックに関するポイントも沢山語られました。

特にワインディング時の、自然に落ちる位置でパネルを分け取ることや、しっかりめにテンションをかけながらの巻き込み、薬液塗布時の微妙な時間差の捉え方など、改めて意識するとハッとすることばかり。知識と技術を一体化させていく瞬間です。

 

 

知識×技術で成立する
パーマデザイン

ワインディング後、両スタイルともに、1液塗布(7分)→中間水洗→ワインド巻き込み→2液塗布(15分2度付け)という工程を経て、フィニッシュ! 冒頭でのデザイン分析の際に提示していたカールスタイル、ウエーブスタイルがピタッと表現されました。

1つのパーマスタイルが完成するまでには、毛髪や薬液といった知識面と、カットやワインドなどのテクニカル面とを上手く融合させて組み立てていくことが大切なんですね。 そして、講師の武田さんのコメントにもありましたが、やっぱりスタートはデザイン。 パーマはカットやカラーと同じように、お客様に似合ってて、ライフスタイルに合ったヘアスタイルって何だろう? と考えたときの選択肢の1つです。今回、スポットを当てた毛髪診断と薬液もお客様を魅力的にする一部だと思うと、もっと楽しめそうですね!

 

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