高まる「頭皮につけないカラー塗布」の必要性

2016年12月6日に行われた、TOMOTOMO技術セミナー「頭皮につけないカラー塗布テクニックのワークショップ」。『BELLE』のカラリスト堀 加奈子さんを講師に迎え、少人数制のワークショップという形式で開催しました。

“これから”に対応したくて参加

このセミナーは、TOMOTOMOの2016年8月号の誌面で展開したテクニックをベースに発展させたもの。カラー剤(酸化染毛剤)のアレルギーリスクに関心を持っている美容師さん達が、(遠くは宇都宮から!)集まってくれました。

今はまだお客様から「アレルギーが怖い」、「頭皮につけないで」という声は多くないものの、今後のことを考えて・・・と美容師の仕事の“これから”を思って参加してくれたそうです。

ヘアカラーはサロンの中でも主力メニューの1つですし、この数年、公式に発表されているだけでも毎年150~250件弱のアレルギーが報告されているから、備えあれば憂い無しですね。

シンプルなようで実は奥が深い!

「“頭皮につけない”ためのやり方を学ぶと、刷毛に乗せるカラー剤の量や、パネルのステム、刷毛やコームワークなど、実は自分のカラー塗布技術を改めて見直すことにもなるんですよ」
と語る講師・堀さん。

堀さんの技術展示を見ていると、その言葉の通り、とても細かい調整が積み重ねられているのが分かります。

地肌につかないように、刷毛に薬を山形に乗せていたり、生えている方向とやや逆らってパネル引き出していたり、刷毛のタッチやコームの軌道で塗布量を絶妙にコントロールしていたり・・・

「疑問」はやってみて
初めて見えてくる

今回のセミナーはウイッグを使って、セクションごとに「展示」→「実技」→「展示」→「実技」・・・の繰り返し。頭の左右でも操作感覚が全然違うから、気をつけたいポイントも様々なんですね。

じっくり展示を観察したはずなのに、実際手を動かしてみたら「アレ・・・?」ということも。

堀さんが一人ひとりの施術を見ながら、細やかなアドバイスをしていきます。
それに呼応するように、参加者の方からも次々に、深くつっこんだ質問が挙がります。

特に、刷毛やコームへの薬剤の乗せ方が結果に直結するとあって、難技術になっています。

メニューや素材にあわせて
アイテムを使い分ける

ウイッグで手を鍛えたら次に気になるのは「お客様に提供するときはどうなの?」ということで、ここからモデルさんで「リタッチ~既染部のトーンダウン」というケースの展示。

施術に入る前に、ファッションカラー・グレイカラー・ブリーチといったメニュー、細毛・太毛・多毛・リフトしやすいかそうでないかといった髪質の違いに合わせた、コーム(歯の密度)の使い分けと塗布量コントロールの解説も。

例えば、
・ファッションカラー・・・根元から既染部の境目に向かって塗布量を多くする
・グレイカラー・・・根元からしっかり量を置いて、染め残しと浮きを防ぐ
・ブリーチ・・・境目にしっかり量を乗せて明度を自然にそろえる
・・・etc

今回のモデルさんは、細毛だけどハリのある硬毛で、量はやや多め、リフトもそこそこしやすいということで、刷毛で根元ギリギリまで塗布した後に、密歯のコームで根元を攻める施術設計になりました。

ウイッグ展示のときとはうって変わって、リアルなサロンワークのペースで塗り進んでいく堀さん。目を見張るスピードですが、顔まわりの産毛へのアプローチといった、モデルならではのコツの解説も充実。

コツは
「中間毛先を絡ませない」
にアリ

このセミナーの中で何度も語られたことが、「毛流れを整えながら塗る」こと。

根元から、中間毛先まで、塗布前に必ずコームを入れて、毛流れを揃えていました。実は、髪が絡まっていると、薬が上手く髪に乗り切らずにムラになったり、根元が折れて地肌に薬がついてしまったりしてしまうそうです。

塗布後の髪を参加者の方に持ってもらったところ、「・・・重い!」
パネルの中までしっかりカラー剤が行き渡り、ずっしりとしていながらも、根元には立ち上がりがあります。

「これでもか!」と水洗

アレルギーリスクの減らすのに、堀さんがもっとも重視しているのが水洗のシーン。というのも、堀さん自身がカラー剤でかゆみが出る体質ということで、どういう順序で流せばいいのか? どういうところに配慮すれば極力肌にカラー剤が残らないのか? をこれまでに考え抜いてきたから。
自分の手や枕についたカラー剤にも注意しながら、これでもか! というくらい入念にすすぎます。

モデルさんもニッコリの
仕上がり

「塗っているときもしみなかったし、ツヤツヤのキレイな色になって嬉しい!」
とリアルな感想をモデルさんからいただきました!

頭皮につけずに根元ギリギリから塗布する技術は、こんな風にお客様の笑顔や高い満足感につながっていくんですね。

これからのヘアカラー、色出しやデザインはもちろんですけれど、お客様の安心感という付加価値が加わって、もっと素敵なメニューになりそうです。